スタッフ紹介特集

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起業する前のお仕事についてお聞きしてもいいですか?

前川社長:はい、以前は商事会社で長く勤めておりまして、そこでは紙を中心にいろいろな商材の調達を行う仕事に長く携わっていました。それから、その後に建設関連の会社の役員をやったりしていました。建設会社での在籍は短かったのですが、今の会社を立ち上げるために、いろいろお世話になりました。

久高:そうなんですね。農業とはまったく違うお仕事をされていたんですね。流通畑から建設会社と、そこは以外でした。商事関係の会社では、食品などの商材は扱ってなかったんですか?

前川社長:食品はやってなかったですね。

久高:そうなんですね。でも、ずっと営業畑でやってきたわけですね。商事、建設関連とそれぞれ業種の違うお仕事をされてて、そのあと、農業の世界に入っていくわけですが、そのあたりの経緯が興味深いですが、その辺のところをお聞かせください。

前川社長:初めは、農業ではなく、海洋深層水を農業用水として利用し、それを販売するビジネスを立ち上げようと思い、これまで勤めていた会社を退社しました。これまでの経験を生かせば、独立しても十分やっていけると確信し、思い切って起業を決意しました。

海洋深層水事業から、一転、農業への道へ変換したのはどうしてですか?

前川社長:そうですね、海洋深層水事業では、陸地で吸い上げた水を農地で活用するんですが、汲み上げた水を施設型農業や農業用水として使うことが前提で、どうしても、農家の方との関わりが出てきたんです。それから、ビジネスを立ち上げるために、いろいろ細かい情報を集めている中で、会社の農業法人化など、いろいろな条件があったりして、どうしても農業を避けることができなくなっていったんです。そこで当初、事業としては3番目に考えていた農業を一番最初にもってきました。とはいっても、それは想定範囲内ではあったんですが、それを着手するのは、まだまだ先の事だろうぐらいに思っていました。しかし事業の方向性が一気に農業の方へシフトして行ったんです。

今でも深層水は活用しているんですか?

前川社長:そうですね。今は止まっています。でも、深層水をとるために近くの土地に7メートルの穴を掘って、海に向かってパイプを通す穴を掘り、さらに沖合のある場所から地下350mまで掘った状態まで工事を進めていたわけですが、その途中で資金など、いろいろな問題で、その工事を中断せざるえなくなったんですね。

建設には大きな予算がかかるので、単体では資金を調達するのは難しいということになり、穴を掘って、海まではいったんですが、しばらく事業は前に進まないといった状態が続いていました。当時は、どうしようかすごく悩みました。そこで、事業継続のための資金が厳しくなったので、これまで好意にしていただいていた、沖縄美ら島財団の方に相談して、出資の可能性を見出せました。

久高:当時は厳しい経営判断をしなければならず、すごく苦労されたんですね。

前川社長:そうなんです。それから経営を安定させていくために、沖縄美ら島財団の子会社として、増資を行い、沖縄美ら島ファームを設立しました。最初の2年間は、外部の人を起用し、その後継として私が代表となり、現在に至っております。

起業する前のお仕事についてお聞きしてもいいですか?

前川社長:そうですね。国産パインといった点で考えた場合、沖縄にはマンゴーやみかんなど南国特有のいろんなフルーツがありますが、その中でもパインは沖縄でしか栽培できないといった優位性があります。パインを通して、沖縄農業の可能性や独自性を広げ、農作物の6次化を通して、もっと社会に貢献できる会社に育てていきたいといった思いが強かったんです。

もともと、パインは酸性土壌でしか育たないので、アルカリ土壌の本部の土地だけではなく東村に2万坪の農地を確保し、ハウスと路地で本格的にパインの栽培を始めていきました。

久高:2万坪って、けっこう広いですよね。それからパイン一筋にこだわり、中でも糖度の高い、高品質なゴールドバレルにこだわっていますが、ゴールドバレル種についてもう少し詳しくお聞かせください。ゴールドバレル種って、もともと沖縄にあったものなんですか?

前川社長:ゴールドバレル種は、農業試験センターが開発したパインで、すごく糖度が高く、品質のいいパインではあったんですが、栽培しにくいといった点や、農業としての効率があまり良くないといった理由で、ゴールドバレル種の開発はやめようと考えていたんですね。

久高:そうなんですね。ゴールドバレルそのものは素晴らしいんですが、それを販売といった一定のラインで生産していくためには、当時、難しい課題があったんですね。

前川社長:そうなんです。手間がかかる上に、サイズも大きいといった特徴があって、育っていく過程で、実がフラフラして、育てにくいといった欠点もありましたが、その当時、ゴールドバレル栽培に精通した玉城さんといった農家の方が、ゴールドバレル種を引き取って、栽培の課題を少しづつ解決し、出荷数を増やしていきました。

久高:なるほど、栽培や作り方などもある程度確立されていったので、あとはそれを一定の供給量を増やしていくことが重要になっていくわけですね。

ゴールドバレルの栽培ついて、大変だったことはありましたか?

作付け面積2万坪 沖縄県東村 契約農家のパイン畑

前川社長:パインは、緑熟っていう言葉があって。それは何かといいますと、外から見るとまだ緑色の状態なので、一見まだ熟していないように見えるんですが、中はしっかり甘く熟していることがあるんです。フルーツではあまりないケースなんでんすが、それを目では確認できないんで、機械を通してチェックしていかないと、品質の良いものを出荷することが難しいといった課題がありました。

久高:そうなんですね。ちょうどいい品質の良いものを見極めるって、難しいですよね。おそらく豊富な経験や知識に加え、収穫のタイミングを判断する目利きがきもになっていくわけですが、その辺を機械化でしっかり解決していくわけですね。

前川社長:それで、収穫時期や食べごろ感を判断するといった、ある一定の品質をキープするためには、目視では厳しいということで、思いきって、パインの熟成度合をチェックする機械を導入しました。普段は、指で音の感じで判断するんですが、それでいくと、やはりいくつか熟していないパインが混ざってしまうんですが、機械を導入することで、ほぼ熟しているものとそうでないものが混ざることがなくなりました。そのため、お客さまの手元に届く際に、ちょうどいい状態で熟成したパインを召し上がっていただけるわけです。お客さまからのおいしさや、熟成度合に関してのクレームがほとんどないのも、弊社のゴールドバレルの強みでもあります。

久高:それは、糖度や熟成の微妙な加減をチェックできることはゴールドバレルをすごくいい状態でお客さまにご提供できるといった、他社ではできない訴求ができますよね。

すごく大きな強みになると思います。

前川社長:そうなんです。パインの場合、中の状態を表から判断しにくいといった課題があり、良質なパインを一定品質に保ちつつ販売する上で、機械化による解決は非常に大きな利点があると思われます。パインは本当、わかりにくいんです。

久高:表の顔と裏の顔ですね笑 ある意味繊細なフルーツとも言えるのかもしれませんね。笑

甘さを追求するフルーツにとって、熟成のタイミングって非常に大きなポイントですよね。でも、収穫するさいの判断は、経験やある程度音のチェックをして収穫し、最終的に熟成度合のチェックをするわけですね。その場合、収穫されたパインと最終的に出荷される良質なゴールドバレルの割合が同じに近ければよりいいと言えるわけですね。

前川社長:そうなんです。私どもが栽培するゴールドバレルは、糖度が16度以上でないと、ゴールドバレルとして出荷しないので、15.9度でもださないんですね。それだけ、糖度に対して厳しいチェックをしているんですね。そのため、ものすごく品質には気を使っているんですね。

そのため、収穫されたゴールドバレルの半分は、自社の加工品など、2級品として活用しております。

久高:なるほど。品質に関しては特に気をつけ、こだわっているんですね。

美ら島ゴールドパインが商品名ですが、パッケージなどに180度といった表記がありますが、商品を逆さまにしてお届けするといったこだわりを表していると聞きましたが、何かブランドを意識してつくられたんですか?180の文字を逆さに表記してシンボル化していますよね。あの辺についてもう少しお聞かせください。

前川社長:そうなんです。糖度の高い良質のパインを高級パインといった形でブランド化していくため、品質に関するこだわりを盛り込んでいく必要があります。そこで、沖縄美ら島ファームでは、栽培から収穫、選別、発送といった工程で、一定品質のパインを出荷するため、運び方にもこだわっています。

常パインは上向きで立てて出荷するんですが、ゴールドバレルは180度逆さに箱詰めします。つまり、それはパインは上部分より下部分の方が若干糖度が高く、それと、逆さに箱詰めすることにより、下部分の甘みが上部分へ流れ込むと言われています。お客様の手元に届く頃に、「ちょうどいい状態でお渡ししたい」といった思いで、発送方法にも工夫しているんです。そうした品質に対するこだわりをブランド化するための取り組みの一つとしてビジュアル化したものが180度プレミアムブランドです。

久高:それはすばらしいですね。前川社長の美ら島ゴールドバレルへの思いと、沖縄の農作物のブランド化へのこだわりが伝わります。

経営上、感じたことや学んだことなどあれば聞かせてください。

前川社長:パインと水産業をやっているんですが、それは全く違ったことをやっているんですね。

久高:はい、水産業というと具体的にどんな事ですか?

前川社長:そうですね、沖縄美ら島財団の美ら海水族館の、あの大きな水槽がありますよね、その水槽内の壁面の掃除や、そこに飼育されている海洋生物の調餌などを主な事業として請け負っているんですね。

そうした、仕事の内容が根本的に違う業務を、平行して行っているんですが、そこで働くスタッフでの意識の違いがどうしても出て来るんですね。例えば、誰がどれだけの事を行い、どんな課題があるのかなど、社内でもよく分からないといった状況がどうしてもありますが、そこは、同じ従業員として、社内間のコミュニケーションを円滑にし、部署は違ってても、社内の課題や問題意識を共有しながら、共存していく体制をつくっていかなればいけないと思っているんです。しかし働く場所が違うので、どうしても社員間の交流が希薄になっていくんですね。そこらへんをもう少し改善し、一体感をもって経営を進めていくため、日々頭を悩ませています。

久高:確かに、少し特殊な環境でもあるので、よりそのへんをまとめていくのが難しいですよね、社内で共通の意識をもって、それを高めていくといったプロセスは。

前川社長:うなんですね。確かに大変ですが、でも、いまの環境を踏まえながら、いまの課題を解決していくよりよい方法を探っていきたいと思います。

久高:何か社員全員が集まって、顔を合わせて交流できる場があるといいですよね。

前川社長:そうですよね。そういった事も、今年は意識的に増やすようにしています。

もっと、自分もスタッフと関わる機会を増やしながら、社員との交流を通して、少しづついい形にもっていきたいですね。

最後に、今後やってみたい事やチャレンジしてみたい事などあれば聞かせてください。

前川社長:そうですね。将来的には、自社の農園をしっかり整備し、農業体験や、そこで採れた農作物やそれを加工した商品の販売、または観光客を取り込んだ飲食事業などを複合的に行う観光体験型の農業施設を構築していきたいですよね。

久高:すごいですね。あと、北部、特に国頭村や東村などのやんばるで世界遺産への取り組みなども沖縄県で進めているようですが、そういった事が今後実現していく中で、ゴールドバレルの産地である東村などのPR活動も加速していく事を期待しています。

今日は、忙しい中、お時間いただきありがとうございました。


今のお仕事をされる前の仕事についてお聞きしてもいいですか。

宮里専務:そうですね、私は大学を卒業して、一度、青年海外協力隊員として、南米のパラグアイに2年間赴任させていただきました。現地では、男子の全寮制の農業高校に配属され、土壌肥料関係の実習担当等、また、技術指導員として、2カ年間働かせていただきました。
その後、任期を終え沖縄に戻りまして、沖縄美ら島財団に入社しました。そこでは、公園の維持管理、植物関係の調査・研究、また都市緑化関連の業務等に携わっていました。当時、各地で開発・建設工事等、多くの公共事業がなされており、それに付随して、工事予定地内外の植物現況調査等の仕事にも関わらせてもらっていました。

久高:植物が専門なんですね。

宮里専務:もともと大学では農学系学部に在籍していましたので、先ほどの青年海外協力隊では、土壌肥料という分野で農業高校に派遣されていました。

久高:そうなのですね。そういう意味では農学系学部を卒業し、その後ずっと農業に近い分野で働いてきた感じですね。

宮里専務:そうですね。基本的には植物関係の仕事になります。財団の方で勤めている時に、埼玉県内の国営公園で2年ほど勤務していたことがあります。平成7 年、8年ごろだったと思います。赴任した当初は、現地の植物植生が沖縄の植生とかなり違っていたので、すごくとまどいました。生育している植物が沖縄でこれまで見てきたものとはかなり違っていました。そういう意味では、とても貴重な経験をさせてもらったと思います。

久高:そうなんですね。結構、財団時代にはいろいろな場所で働かれていたんですね。

宮里専務:そうですね。埼玉の方から戻ってきてから、3年くらいは首里城の方での勤務になり、3年間働いていました。そこでも基本的には植物関係の業務が主体でした。

久高:これまで、長い間同じことをされているので、今では植物に関するエキスパートですよね。

宮里専務:そうかもしれませんね。それから、財団勤務の後半は、本部町の熱帯ドリームセンターや都市緑化植物園での仕事を経て、財団の総合研究センターに勤めておりました。ちょうどその頃、弊社が現在生産・販売している「ちゅらら」(品種登録名)がつくられたりしました。

久高:そうなんですね。ちゅららの開発には宮里専務も関わっていたんですか?

 

宮里専務:そうですね、この花はリュウキュウベンケイソウという沖縄の絶滅危惧植物を片親としています。その花はみんなに知られている花なのですが、当初、自生地が確認できず、どこにあるのかわかりませんでした。当時いろいろ自生している場所を探していたところ、ある文献に宮古島諸島に存在していたらしいという情報を知り、早速、宮古島諸島に行きました。そこで運よく自生しているリュウキュウベンケイソウを見つけることができ、その一部を本島に持ち帰りました。その後、千葉大で交配種が作出・選抜され、ちゅららが作られたのです。今では、7品種が登録されています。

久高:すごいですね。すごく「ちゅらら」の開発には関わっていたんですね。これは、本部町の美ら海水族館の近くのハウスで栽培されていますよね。

宮里専務:「ちゅらら」を沖縄の花として普及させたいということから、一部農家にも苗を提供して作ってもらっています。親会社の沖縄美ら島財団では、農林水産部と花卉園芸に関する連携協定を結んで、普及に取り組んでいます。

久高:そうなんですね。すばらしいです。花以外では何か開発とかされていましたか?

宮里専務:総合研究センターに勤務していた頃、パイナップルの増殖、特に茎頂点培養による増殖・育成等にも携わっていました。その後パインアップルの商品開発などにも関わっていたという経緯もあり、現在の美ら島ファームでの仕事に繋がっています。

久高:なるほど、ここまでお聞きすると、これまでの流れがよくわかります。

沖縄で農業をする意味や、課題、可能性といったところをお聞かせください。

宮里専務:6次産業というのは、農産物の生産から加工、販売までを一事業者が一貫で行う体制を指します。一農家では、そういった一連の業務を全て行うのはなかなか厳しいという現実がありました。それが会社、いわゆる農業生産法人ができることで、一貫型の農業経営が可能になってきたのだと思います。 以前は、法律上農業者以外は、農地を購入することができなかったのですが、農地を所有できる法人の要件の見直しがなされ、民間企業(農業生産法人)であっても農地を所有することが可能になりました。そういう意味では、法規制が変わったあたりから、農業の6 次産業化が社会的にも取り上げられ、一般企業(農業生産法人) でも農地を購入し、農業経営に参入することがすることが、しやすくなったのだと思います。

久高:なるほど、農業生産法人は以前からあったのですが、農地を取得することができなかったんですね。

宮里専務:そうなんです。6次産業となるとやるべき仕事がかなり増えてきます。そのため一農家ではなかなか生産、加工、販売など、全て行うことは難しかったんですね。農業生産法人となれば、従業員を増やすことができ、会社として生産・加工品製造、PR 活動、営業、販売など、やることやできることの幅が広がっていくのです。

久高:なるほど。6次産業化の果たす役割は今後も大きいですね。ただその反面、沖縄で農業の6次産業化を進めて行く際の課題もありますよね。ぜひ、この辺の課題を沖縄美ら島ファームさんの方でもクリアしていけたらいいですよね。陰ながら応援しております。それでは、次の質問に入ります。

農業を主体とした事業をされようと思った経緯や理由をお聞かせください。

宮里専務:もともと私は農家出身だったので、小さい頃から親の手伝いをよくさせられていました。
その頃、農業は化学肥料や農薬を大量使用するが当たり前のような時代で、いわゆる農作物が化学肥料・農薬づけの状態だったんですね。当時、親が葉タバコを栽培しており、毎週のように農薬散布をしていたような記憶があります。マスクをしながらそういった手伝いをやっていました。その当時は化学肥料・農薬を使用することが社会的マイナスのイメージはなく、どこの農家さんでも簡単に使用していたように感じています。
誰でもそうだったのでしょうが、私も農薬の匂いとかが嫌で、子供ながらに農薬等に対してこれは違うんじゃないかと、感じていました。また、化学肥料の投入しすぎによる土壌の疲弊・いや地等という状況もあったように思います。
そういった体験もあって、これまでの農業のあり方に違和感をもち、その結果農学系学部に進んでいったという経緯があります。
そういう流れだったのですが、青年海外協力隊に参加、その後海洋博覧会記念公園管理財団( 当時) へ就職、植物関係の仕事へと繋がったわけです。

久高:そうなのですね。あと、農業を取り巻くビジネス環境も近年大きく変わってきましたが、そのあたりについて何かありますか?

宮里専務:これだけ観光客が増え、また、ホテル等も次々建設されています。それに伴い、農産物の需要もかなり大きくなっていると思います。沖縄だけでは、到底まかないきれない量と種類ですが、その割にはホテル等での県産農産物の消費が少ないように思います。農家の生産物とホテル等で、必要とされる農産物とうまくマッチングしていないのではと感じています。沖縄の場合、農地面積の関係もあり、本土のような大規模農業が物理的に難しい状況にあります。しかし、面積は小規模ながら沖縄にはいろんな農作物を栽培している農家も沢山います。沖縄産の農作物をもっと、県内の飲食店、宿泊施設、リゾートホテル等へうまく流通させていきたいという思いがあります。

久高:今、その農家と消費者と結ぶ働きが、JAのよう大型組織がされていますが、そういった動きといった役割も、民間ならではのアプローチで、いろいろできることもあるのかなっては思いますが、そのあたりで何かありますか?JAではできない事とかですね。

宮里専務:そうですね、そういった流れを構築し、直接消費者と結ぶ仕組みを作っていきたいですよね。流通コストの削減が可能です。また、一つの作物に特化し、栽培することでブランド化を構築することも可能だと思います。

現在の主力商品、美ら島ゴールドパインについて聞かせてください。(特徴、魅力など)

宮里専務:美ら島ゴールドパインは、弊社生産のゴールドバレル種のブランド名になります。ゴールドバレルは、高糖度と程よい酸味のバランスがとれたジューシーな食味が特徴的です。パインアップルにはソフトタッチ、ボゴール、ジュリオスター 等、いろんな品種が流通していますが、その中でもゴールドバレルは最も青果に向く品種だと思っています。
株を大きく育てれば、大きなサイズの果実も作れます。また、小さくても糖度が高い果実も作れます。しかし、糖度が高いため発酵しやすく日持ちが悪かったり、熟期が判断しにくい等の難しい課題を持つ品種でもあります。

久高:そういう意味でもパインの中でも高級ランクに位置づけするのも、その為なんですよね。
パインって、そこまで品種があると思っていなかったんですが、物理的にどんどん増やすことができるんですか?

宮里専務:いろんな品種を開発することは可能なのですが、なかなか新たなパインを作るには多大な労力と、時間がかかるのも事実です。そのため、パインアップルの品種開発は、沖縄県の農業研究センターを中心に進められています。
サマ―ゴールド、ゆがふ、ジュリオスター、ゴールドバレル、次が最近品種登録されたサンドルチェ、さらにその次の品種と次々と出てくるようです。

久高:作り手は、いい物をつくりたいと思って、開発していきますが、例えば何を基準に新しい商品の開発を行うのですか?

宮里専務:一つは、加工用と生食用で大きく分かれてくると思います。加工用品種の主力として「N67-10」というタイプの品種があります。生育が旺盛で比較的作りやすく、実も大きく、時期になると酸度が下がり青果としても流通します。生食用であれば、糖度と酸度のバランス、食味等が重要になります。そのほか、香り、見栄え、日持ち、栽培のしやすさ等、多くの基準を挙げることができます。その中から、その時代に合った品種ができれば、ベストだということになります。

久高:なるほど。やはり開発の中心といいますか、改良を加えたり、違ったタイプの品種を作る際に基準になっているのは中身の質といいま すか、特徴の出し方にあるように感じました。例えば、中身の改良ではなく、外側の改良と言いますか、そういった違いをだす開発は、パインに関してはナンセンスなんでしょうか?例えば、みかんのように剥きやすい皮とか、そんなパインとかあったら面白いなあと、思ったりするんですが、それはナンセンスですかね?

宮里専務:みかんまではいかなくても、小果実ごとに、ちぎって食べられるタイプのパアインアップルはあるんですよ。ボゴール(スナックパイン)と呼ばれている品種がそれです。通常パインアップルは、小果実が集まって、一個の大きな集合果と言われる果実ができます。スナックパインは、集合果から小果実を一個ずつ、ちぎって食べることができます。その面白さが、旅行者などから人気があるようです。その他にも、桃の香りがするピーチパインと呼ばれる品種もあります。現在、遺伝子組み換え技術等を活用していろんな植物が作り出されています。アメリカでは、果肉がピンク色をしたパインアップルが作り出されたと聞いています。社会のニーズが高まれば、いろんな形態のパインアップルが作り出されると思います。決してナンセンスということはありません。

久高:そういった意味で、今後いろんなパインが作られていくと思いますが、タイプについて言えば、向かってほしくない品種開発といったことはありますか?

宮里専務:いろんな品種を作っていいと思うんですが、ただ、消費者等のニーズがあって、且つ売れるパインアップルとなるとおのずと方向性が決まってくると思います。

久高:何れにしても売れるパイン、おいしいパイン、消費者に好まれるパインを作るといった目的であれば、おのずと新しい品種開発には、そういった要素が含まれてくることが条件になってくるのですね。

宮里専務:そうですね。高糖度と程よい酸味のバランス、良好な食味といった要素がなければ、売れていきませんから。でも、観賞用としての目的であれば、また、方向性が変わっていきます。葉に色をつけ見栄えを良くしたり、果実を小さくしたりすることも可能だと思います。

久高:でも、過剰な遺伝子組み換えみたいなケースは、いろいろ考えさせられますよね。みかんとりんごの組み合わせがどうなのかとか?

宮里専務:遺伝子組み換え技術で、通常は考えられなかった植物が作り出されています。現在ある、みかんやりんごは栽培しやすいように、収穫が上がるように、食味が良くなるように等、かなり品種改良が進んでいます。みかんとりんごの掛け合わせが物理的にできたとしても、やはり、みかんはみかんとして、りんごはりんごとして食べた方が一番美味しかったりするのだと思います。消費者や生産者のニーズが高まれば、それに合わせた品種改良が行われることになると思います。

ゴールドバレルの栽培ついて、大変だったことはありましたか?

作付け面積2万坪 沖縄東村 沖縄美ら島ファームパイン畑

宮里専務:ゴールドバレルの場合、日焼けが発生しやすい、多冠芽が出やすい、果柄が長く果実が多きため倒伏しやすい等、他の品種に比べて栽培が難しいところがあります。特に、緑熟果にはびっくりさせられます。外は青いのですが中は熟している状態ですよね。降水量が多い場合や水はけが悪い土壌では、緑熟果の発生が問題となります。これは、ゴールドバレルだけではなく、他のパインアップルでも見られます。
加工用は緑熟果でも、使えるのですが、青果用はそうはいきません。選別作業とその対策が必要となります。また、ゴールドバレルは、収穫適期の判断が難しく、ほっておくとすぐ熟し、果実の発酵が進んでいきます。そのへんも難しいところです。

久高:やはり過剰な水分摂取量といった水被害的なことですかね?

宮里専務:県農研センター等からの情報では、品種特性、降水量、施肥量、収穫時期等、いろんな要因がからんでいると聞いています。基本的に一番多いのが、梅雨時期ですよね。この時期に一気に大量の雨が降って、その後、かんかん照りになる天気の場合に、緑熟果といった状態になりやすい傾向があります。土壌は、びしょびしょですが、沖縄の場合、日差しが強く、温度も高い、雨が止めばどんどん気温が上昇していきますので、一気に水分が吸い上げられます。そこで何かしらのバランスが崩れて緑熟に発展するのではないかと考えています。やはりその時期は、ハウス栽培でないと難しいということになります。

久高:自然を相手にするお仕事の場合、どうしても避けられない問題ではありますが、毎年の気候の動きや沖縄特有の天気など、できる限りの対策を行うことが重要になってきますよね。ありがとうございます。それでは、最後の質問に入りたいと思います。

今後やってみたい事やチャレンジしてみたい事などあれば、お聞かせてください。

宮里専務:今後といいますか、手掛けているのがパインアップルやシークワーサー残渣等を、発酵と陽干し乾燥を繰り返し飼料化にすることを考えています。今は、ヤギを使って嗜好性や残渣飼料の保存性等を試しています。残渣の有効活用、ビジネスの可能性も探りつつ、いろんな角度からの実証を行っていますが最終的には、ヤギの肉質改良に繋がらないか期待しているところです。その他、農作物の自然栽培にも興味があります。いわゆる無化学肥料、無農薬での栽培ですね。最近、アトピー性の皮膚炎等、皮膚に異常をきたす方が、多いように感じます。私も15,16年前から皮膚が荒れて病院に通っていたのですが、皮膚科に行くと待ち時間が長く、多くの時間がつぶれたのを記憶しています。処方される薬も徐々に強い薬と変わり、最終的には薬が効かなくなってしまいました。その後、違う病院の診療を受け、食生活から変えていくことになり、現在に至っています。

 

その先生から言われたのは、代謝不足、免疫力が落ちているということでした。日頃から口にしている食べ物、飲み物等には、いろんな添加物が含まれています。その中には、身体に必要ないものまで含まれているわけです。そういう物は、人間の新陳代謝、免疫力などで体外に排出することになっているのですが、その機能が落ちているというのです。添加物の取り過ぎだったのかもしれません。体力の衰えだったのかもしれません。今は、野菜中心に添加物は、多くとらないように心がけています。話は、変わりますがが、発酵させた土壌を使って、化学肥料や農薬を使わずに栽培ができると楽しいですよね。

久高:それは、何か発酵菌のような物を土壌に混ぜていくとかですか?

宮里専務:米糠やススキ、竹葉等で土壌表面をマルチングし、自然界に存在する発酵菌等の力で土壌を発酵させると言う感じでしょうか。そうすることで、土壌中の病原菌などが抑えられるという考え方です。
それで野菜や果物の栽培ができれば、無化学肥料、農薬での自然栽培が可能となるのではないでしょうか。農作物も自然栽培という付加価値をつけて販売展開ができるのではないかと思っています。また、発酵食品そのものにも興味がありますね。

久高:そうなのですね。ヨーグルトとか納豆とかチーズとかですよね。

宮里専務:そうです。発酵食品を作れるとすごく面白いかなと思います。
全国、全世界に発酵食品ってたくさんありますよね。いろんな形でいろんな物に活用されています。日本酒、泡盛、ワイン、ヨーグルト、チーズ、味噌や納豆、醤油、パン、豆腐よう、キムチ、塩辛、鰹節、漬物など。それだけ多く、食品として使われているのに、実際にはあまりよく知らないことが沢山あります。発酵と腐敗は紙一重と言った感じで、腐敗させないためには温度や湿度、pH管理等が非常に大切だと言われています。もっと知識を深め、将来的には発酵食品の開発などにも携わっていければと思います。自然栽培の野菜や果物を使って、身体にいい発酵食品や食材を提供したり、参加者が自然栽培や発酵食品作り体験したり、旅行者等と地域との文化・スポーツ交流や情報交換ができるような、健康アイランド的なエリアができるといいですね。

久高:すばらしいですね。とくにここ北部のように自然がまだまだ残っている場所ですることに、また意味がある気がしますし。ぜひ、その辺のビジョンを遠い未来ではなく、近い将来に実現できるといいですね。(笑)
それでは、今回のインタビューはこの辺で終わりたいと思います。長い間お時間いただき、ありがとうございました。

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一般財団法人 沖縄美ら島財団